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札幌高等裁判所 昭和34年(ラ)13号 決定

抗告人 有限会社北海産業商会

相手方 有限会社伊沢電気商会

主文

原決定を取り消す。

本件を札幌地方裁判所小樽支部に差し戻す。

理由

本件抗告の趣旨並びに理由は別紙記載のとおりである。

本件においてその負担並びに額の決定せらるべき訴訟費用については、当事者間に各自負担との暗黙の合意があつたとの抗告人の主張はその事実を認めうる証拠がないから採用することができない。

しかしながら、訴取下によつて訴訟が完結した場合の訴訟費用の負担は、特段の事情がないときはむしろ訴を取下げた者の負担とするのが原則であると考えた方がよい。本件においては、相手方が訴を取下げたのは、抗告人が強制執行を解放したからであるということはなるほど記録によつて明らかであるが、抗告人が何故に執行を解放したのか、その事由は明らかでないのみならず、抗告人が民事訴訟法第一〇四条第二項、第一〇一条第一項の規定に従つて原裁判所に提出した異議申立書によると、抗告人は相手方等の第三者異議の訴の取下前一且伊沢喜作に対する強制執行を解放したが、相手方等の不信行為によつたものか、再び喜作に対して強制執行をしているという事情が窺われるのであるから、原裁判所としては、当事者を審尋するなりしてから決定を為すべきであつたと考える。

よつて、民事訴訟法第四一四条、第三八六条、第三八九条を適用し主文のとおり決定する。

(裁判官 石谷三郎 渡辺一雄 岡成人)

昭和三四年(ラ)第一三号

抗告人 有限会社北海産業商会

抗告人の抗告の趣旨および理由

抗告の趣旨

原決定は之を取消す。

訴訟費用は相手方等の負担とする

との決定を求めます。

抗告の理由

一、抗告人が強制執行を解除した理由の一つは(同裁判所昭和三三年(モ)第六二号)訴訟費用は各自負担との当事者間に暗黙の合意があつたからである。

二、然るに相手方等は之を無視して訴訟費用の負担並訴訟費用額確定決定を申立てたのは違法である。

三、右の理由により抗告人は抗告の趣旨記載の決定を求める為本申立に及んだ次第である。

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